対人援助・スピリチュアルケア研究会

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当研究会について

設立の趣旨

 現代日本社会の高齢化の進展とともに、病院や高齢者福祉施設における患者や施設利用者の疾病、症状の重篤化が進む環境のもと、医療・福祉施設においては更なる援助スタッフの質の向上、技術の高度化が求められている。そのなかで、終末期医療の現場で患者や家族に対するケア、特に、終末期患者とその家族へのスピリチュアルケア(宗教に依らない心のケア)の必要性は高まる一方である。
 また実際に、日本の臨床で多くの医療者がスピリチュアルケアの考え方と援助技術を学びたいと痛切に求めている現状を鑑み、われわれは終末期医療に従事する医療者のみならず、広く医療、福祉の現場で患者や家族のスピリチュアルケアを実践するスタッフの発掘、啓発、育成が急務であると考えて、代表をつとめる村田久行(京都ノートルダム女子大学教授・当時)が、10数年の研究の成果としてまとめたスピリチュアルケアを含む対人援助の考え方と方法【村田理論】を医療、福祉や教育の分野に普及し、現場を支援し、協力することにより、対人援助専門職の技術水準の向上、次世代人材の育成を推進し、もって保健、医療又は福祉の増進、社会教育、人権の擁護又は平和の推進、子どもの健全育成等の公益の増進に寄与することを目指して、本研究会を発足するものである。

(2006年設立趣旨書より)

設立までの経過

 代表をつとめる村田久行(京都ノートルダム女子大学名誉教授)は、2003年笹川医学医療研究財団の助成を受け、「終末期がん患者へのスピリチュアルケア援助プロセスの研究」を行い、SP-CSS(スピリチュアルカンファレンスサマリーシート)を使った終末期のがん患者へのスピリチュアルケア援助プロセスを定式化しました。それにより、スピリチュアルケアを実践する医療スタッフ育成のための系統的な教育プログラム構築に扉を開いたのです。その成果を踏まえて、2004年度には日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の助成を受けて、本会有志と共に「スピリチュアルケア援助プロセスのワークショップ」を全国3ヶ所で実施しました。

 このSP-CSSを使った5時間におよぶ講義と演習からなるワークショップでは、臨床でスピリチュアルケアに取り組もうとする医療従事者の熱意が充満し、村田理論によるスピリチュアルケアに対する医療現場の強い関心を実感しました。そこで、このスピリチュアルケアの考え方と技術を学びたいという参加者の熱意に応えて、2006年9月に村田理論に基づく特定非営利活動法人対人援助・スピリチュアルケア研究会は発足しました。

研究会概要

 特定非営利活動法人対人援助・スピリチュアルケア研究会は、日本の医療・福祉・教育分野の対人援助専門職に対して<対人援助・スピリチュアルケア>に関する教育普及活動や調査研究を行うとともに、研修や助言を行い、対人援助専門職を支援することを目的としています。さらに、これら対人援助専門職の技術水準の向上、次世代人材の育成を推進することを大きな任務としています。
 数年の研究の成果としてまとめたスピリチュアルケア(宗教に依らない心のケア)を含む対人援助の考え方と方法【3次元存在論】を定期的な研修会や啓発活動を通して医療・福祉・教育の分野に普及し、治療(キュア)と業務が優先される現場に対人援助とケアの思想を導入することで人を援助する仕事の意味を回復し臨床で苦しむ人々に「生きる意味への援助(=スピリチュアルケア)」を行うことです。

名      称
特定非営利活動法人 
対人援助・スピリチュアルケア研究会
役      員
的場 康徳[理事長代行・副理事長] 
(鹿児島大学病院 消化器外科学医師)
村田 久行[理事] 
(京都ノートルダム女子大学名誉教授/対人援助研究所所長)
浅川 達人[理事] 
(早稲田大学・人間科学学術院 人間環境科学科 教授)
疇地 和代[理事] 
(わそら街なかナースステーション がん看護専門看護師)
大塚  茜[理事] 
(一般社団法人 なごみ代表理事)
坂井 明弘[理事] 
(CARE&SONS 地域密着型ケアホームよかよかん 社会福祉士)
須藤 奈津子[理事] 
(鹿児島県社会福祉士会事務局長、社会福祉士)
久須美 房子[監事] 
(天理よろづ相談所病院 緩和ケアセンター長(兼)がん相談支援センター室長 医師)
設      立
2006年10月3日
主 な 活 動 内 容
1.対人援助専門職への対人援助・スピリチュアルケア教育研修会
2.対人援助・スピリチュアルケアに関する出版事業
3.対人援助専門職への助言または支援事業
4.医療・福祉施設の研究企画への協力事業
5.会報などの発行
定      款
定款はこちら
各年度の事業報告
内閣府NPO法人ポータルサイト
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事 務 局 住 所
〒603-8151 京都市北区小山下総町41番地7
電      話
075-431-1803
F   A   X
099-833-3051

講師紹介

村田 久行むらた ひさゆき 京都ノートルダム女子大学 名誉教授
指導するから従わない、説得するから納得しない、抑制するから反抗する、教育するから無気力になる、禁止するから逸脱する。従わない、納得しない、反抗する、無気力になる、逸脱する人の苦しみはいつも指導する人、説得する人、抑制する人、教育する人、禁止する人の意識の埒外にある。
しかし、援助とは苦しみを和らげる、軽くする、なくすることであり、指導することでも、説得することでも、抑制することでも、教育することでも、禁止することでもないのだ、と研修講師をするたびにあらためて思います。これが、対人援助・スピリチュアルケア研究会の理事長として、研修講師として、ずっと感じてきたことです。
皆様、現場は苦しみに満ちています。この対人援助・スピリチュアルケア研修を、どうかよろしくお願い申し上げます。
原  敬はら たかし さいたま赤十字病院 緩和ケア診療科 部長
医療援助の方法は、<対象>をつぶさに観察して通常でないところをまず部分に分ける。そして不具合の原因を取り除き、失われたものを修復あるいは補うことだと習います。除去、修復し補うことで原状に回復させ、元どおりの生に還す援助です。医療側も「この手で治してあげることができた」という手ごたえを覚えます。客観的科学的方法とは、まさにこの「部分に分ける」ことからはじまります。医師である自分はこの方法を援助手法として習ってきました。
ところが、おなかが痛むときわたしたちは、「わたしのおなかが痛い」とは言わず、「わたしはおなかが痛い」と言います。痛んでいるのは、おなかという部分にとどまらず、むしろ<わたしそのもの>のようです。人間は、おなかという身体の部分やその痛みを<わたし>から切り離して考えることはできないようです。身体・精神・社会・スピリチュアルという全人理解が援助の視点といわれます。しかしこれは、「部分に分ける」こととはちがいます。そうではなくて、部分に分け、切り離すことのできない苦しみを抱える<わたし>とは何かという視点だと思うのです。研修では、ここを探究し、そしてそのとき援助実践はどのように可能かを臨床から理解し深め合うことを目標にしています。臨床とは、いわゆる医療現場だけを言うのではありません。人がひとに関わるところという広い場のことです。わたしは、臨床医として自分の臨床をことばにすることを大切にしたいと思っています。この研修会も、参加される方々の臨床をことばにするところからはじまります。ともに学びましょう。
的場 康徳まとば やすのり 鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学 医師
私は外科医としてがんの臨床・教育・研究に携わってきました。所属していた大学の付属病院で先端医療に触れ、医学の日進月歩を肌で感じる日々を過ごし、自然科学の恩恵とその将来性を心強く感じたものです。もちろん治せない疾患、とれない痛みも経験しましたが、それは現時点での医学の限界であってやむを得ないこと、いずれ克服できる日が訪れると信じていました。ところが手術もその後の経過も医学的に問題がないどころか、実にうまくいっているのに,患者さんの気懸りは別なところにあり、それが患者さんを支配していることに気づきました。なぜだろう?今の医療水準では十分な治療と経過なのに・・・違和感を抱きながら、その答えが出せない中で次々と入院されるがん患者さんを診療する日々でした。
そんなとき、対人援助とスピリチュアルケアという考え方に出会いました。違和感を抱いた患者さんのあの場面が鮮明に蘇りました。そして生命の質、生活の質の向上をめざすだけでは、のり越えられない理由がようやく分かりました。さらにあのとき患者さんが「(医学的に)良かった」に迎合せず、本心を私に打ち明けてくださった意味がようやくわかってきたのです。
スピリチュアルケア研修会ではスピリチュアルケアができる人になることをめざす中で、受講生が自分の臨床経験を振り返る機会があります。それは単なる過ぎ去った記憶ではなく、患者さん、ご家族、利用者さんから贈られたメッセージです。そんな大切な贈り物の箱を開けることで援助者として働く意味、生きる意味に気づく瞬間がやってくる、そう思い講師を務めさせていただいております。
松原 貴子まつばら たかこ 三重大学医学部附属病院・緩和ケアセンター 医師
現在、三重県にある三重大学医学部附属病院で緩和ケアチーム専従医師として勤務していいます。私自身は、2007年から NPO対人援助・スピリチュアルケア研究会の活動に参加し、村田久行先生の理論によるスピリチュアルケアを学び始め、2011年からスピリチュアルケア研修Aの認定講師をしています。
私がNPOの研修を受講したきっかけは、知り合いの医師に受講を進められたことですが、今振り返れば、そのときの私自身ががん患者の表出するスピリチュアルペインに対してどう応対していいのかわからず臨床現場で困難を実感していたのです。麻酔科医師としてペインクリニックを担当し、その中で出会うがん患者。彼らは、医療用麻薬を使って身体の痛みが和らいだとしても消えない苦しみを持ち、私はその苦しみにどのように対応していいのか戸惑うばかりでした。さまざまな研修や著名人の講演などを聴いたり参加したり、その都度癒され頑張れるような気がしました。しかし臨床現場へ戻って、個々に違う患者を前にやはりどのように応対すればよいのかわからないままでした。そんなとき出会ったのが「スピリチュアルケア研修」だったのです。持って生まれた性格や資質で行うのではなく、学んだり習得できる具体的なスピリチュアルケアの知識と技術を学ぶ機会がそこにあり、スピリチュアルケアについて「わかる」「使える」「できる」になるための研修でした。研修後の自分は、驚くほど患者への応対が苦しくなくできるようになり、その結果、患者の苦しみへの対応が驚くほど変わり、援助になったと実感できるようになりました。
臨床現場の業務の多忙さに追われ援助できないまま燃え尽きることなく、対人援助の専門職としてケアが実践できるようになるために、「援助とは何か」「ケアとは何か」を理解し、実際の応対の方法の習得が欠かせないと思います。ぜひ一緒にスピリチュアルケア研修を学びましょう。
坂井 明弘さかい あきひろ 地域密着型複合ケアホームよかよかん 社会福祉士
私は、認知症ケアの現場に携わってきました。これまでの私は、認知症の人の訴えに、説明し、励まし、さらに、何とか落ち着かせ、その場を切り抜けようと,だまし,かわし、すかし,うそをつき、スルーしていくことを繰り返していました。しかし、認知症の人の訴えは、際限なく繰り返される。どう対応していいか分からぬまま、認知症の人の訴えと格闘していく日々でした。
<援助とは、苦しみを和らげ、軽くすし、なくすこと>と援助の概念を学び、認知症の人は、深く激しい苦しみを抱えていること。さらに、援助者が説明し、励まし、だまし,すかし,かわし,うそをつき,スルーしていく対応は、援助者の援助できない苦しみのサインであることが明らかになってきました。業務から援助へ、問題解決から苦しみを和らげるケアへ、対人援助の専門職として、援助の意味を深め、皆さんと共に、援助者として成長していくことができればうれしく思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

各委員会活動について

当研究会では、各活動に応じた委員会を設け、会員の皆様とともに活動を行っています。

  • 月報編集委員会:毎月発行される月報の編集を行っています。
  • 広報委員会:研究会の広報について意見交換を行っています。
  • 大会企画委員:当研究会の大会の企画運営を行います。

倫理審査委員会

 医療行為および医学的研究行為が行われる際に、被験者の人間の尊厳、人権の尊重その他の倫理的観点及び科学的観点を調査審議するために設置されています。
 倫理委員会は「ヘルシンキ宣言」に従って、全ての被験者の人権、安全及び福祉を保護し、社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある場合は特に注意を払わなければなりません。そして、倫理的、科学的及び医学的妥当性の観点から臨床研究等の実施及び継続等について、審査を行っています。

書籍・研究情報

現象学看護「記述現象学を学ぶ」~体験の意味を解明する 質的研究方法論~
村田久行:編著   出版社:川島書店   価格:4,000円+税
村田理事長(NPO法人講師)が看護師研究グループとともに、体験の解明を目的とした「記述現象学」の「わかる」「使える」研究方法を開発し、書籍として発刊しました。

援助者の援助 支持的スーパービジョンの理論と実際
村田久行:著   出版社:川島書店   価格:2,400円+税

ケアの思想と対人援助 終末期医療と福祉の現場から
村田久行:著   出版社:川島書店   価格:2,300円+税

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